『AGESAGE 4』(2024年)
≪ストーリー≫
『AGESAGE3』から2年後の物語。世界の統合によって起きた混乱はようやく鎮まったが、「ガイネン」と呼ばれる異形の存在が人々の日常を脅かしていた。これは一人の少年が「削除人」として目覚め、巨大な悪に立ち向かっていく物語である。
主な登場人物
シフォン(右)
主人公。戦いのセンスに優れていて、削除人として戦いに身を投じていきます。とある事情で記憶を失ってしまいました。
ギコタ
シフォンの相棒のチビギコ。ガイネンの力を自在に操ってシフォンを助けます。不思議な力をもっているようです。
イチマル
シフォンの先輩。常識人で、自由気ままなシフォンの扱いに苦労しています。ガイネンを激しく憎んでいます。
ロゼ(左)
マルガイのベテラン削除人。イチマルのバディでもあります。面倒見が良い反面、酒癖がよろしくありません。
ミツキ(左)
マルガイの新人削除人。自分に自信がなく常にオドオドしています。本気になればけっこう動けるらしいです。
パンジェ
マルガイの統括官。シフォンを削除人にスカウトしました。ミステリアスな雰囲気の美女です。
師匠
マルガイ最強の削除人。周囲に「師匠」と呼ばせています。高齢ですが戦士としては超一流です。
サジェスタ
カルト教団のリーダー。私利私欲のために行動する危険な人物です。ギコタを狙っています。
アヒャール
『3』から続投。特務機関「ラベル」の調査員です。とある事情でシフォンに近付きます。
ミナミ
『3』から続投。アヒャールのバディです。普段は大学生として忙しく過ごしています。
開発秘話+
楽しく制作できました。けど・・・
『3』は10年以上かかりましたが、『4』は約2年で完成させることができました。途中でスランプに陥った前作と比べて、詰まることなく最後まで進めることができたのは、とにかく制作が「楽しい」ものだったからだと思います。藤本タツキ氏の『チェンソーマン』の設定に『Splatoon』の要素を混ぜたものが本作のベースでした。『チェンソーマン』は漫画・アニメ共にどっぷり浸かり、展示会や観劇のために東京まで足を運んだほどでした。『Splatoon』 は週末の度に何時間もプレイ。子ども向けゲームと侮っていたのですが、徹底的に練られた世界観と随所に挟まれる「遊び」の部分にこれも惹かれたのでした。好きなものをふんだんに詰め込んだ『4』。一方、そのことが「モナーRPGらしさ」を薄めてしまった点については、後々触れていきたいと思います。オリジナル要素をどれぐらいもたせられたか振り返ってみると、原点の『AGESAGE』の足元にも及ばないでしょう。
技術面では『3』を超えられたか?
『4』にはこれまでの作品になかった要素がいくつも加えられています。背景(一枚絵)とピクチャーの多用がまず挙げられるでしょう。「第○話」を合間に挟むことでメリハリをつけることができたのではないかと思います。全12話構成になったのは本当に偶然でした。アニメの1クールのようですね。その他としては、ブソー堂の武器選択、アルバイト「チビギコ狩り」、モノ屋の家具購入システムなどが挙げられます。これらは『Splatoon』から着想を得たものでした。私のこれまでの作品は全体的にアナログ色が濃く、シナリオ面1本で頑張る傾向が強めでした。新しく何かを始めるにあたり、変数や乱数など学び直しをしたものです。そんな新しい作品づくりをするにあたり、テストプレイの協力を請け負ってくださった遠藤なお氏には深く感謝しています。俯瞰的に作品を見てもらうことでこんなにも改善できるのかと思いました。改めて、ありがとうございました。
【第1話①】不穏なスタート
物語はシフォンとノイのやり取りから始まります。「普通の」少年少女とはどこかズレた怪しげな会話、アニキと呼ばれるサジェスタの存在など、2人の置かれている環境が不穏なものであることが伝わればと思います。『4』には、『3』までに使われていた「荒らし(RPGでいう所謂モンスター)」という概念がなく、代わりに「ガイネン」と呼ばれる怪異が存在します。2人は凶暴なガイネンの討伐を命じられていたのでした。ノイの誘惑(?)を振り払ったシフォンは単身ガイネンの下へ向かいます。洋館に向かうまでの流れは、手塚治虫氏の『火の鳥 太陽編』をオマージュしたものです。手塚氏の作品は、女性キャラクターの描き方が非常に「刺さる」のです。太陽編に「イノリ」というキャラクターが登場するのですが、デザイン、メンヘラ気質のある性格など、現代でも十分受け入れられるであろう要素をもっていると思います。このイノリをモチーフにノイの設定が作られ、そこからこのようなオープニングが誕生しました。イノリの出番自体はそれほど多くなく、ノイも当初は第1話でフェードアウトする予定でした。ところが、後に衝撃の役どころでノイは再登場を果たします。
【第1話②】ギコタとの出会い
サジェスタに騙されたシフォンは、ガイネンと共に爆風に飲み込まれてしまいます。死を迎えようとしたそのとき、同じく致命傷を負ったガイネンから「契約」を求められ、それに応じる形で復活を果たしたのでした。物語の根幹は『チェンソーマン』が大部分を占めていて、「契約」というワード自体も『チェンソーマン』での人間と悪魔のやり取りとほぼ同義です。
この時のシフォンとガイネンの会話は、『ウルトラマンZ』第1話をオマージュしています。生命の危機に瀕した主人公とウルトラマンが、どこか噛み合っていない会話の中で最終的に一心同体になるという場面があるのです。醜悪な見た目のガイネンが、話してみたら意外とフランクで物分かりが良いというギャップがあったら面白いだろうなと思い作りました。このガイネンの見た目ですが、本来の姿ではなく、シフォンのトラウマによって形成されたものでした。そのトラウマの正体については、終盤にて判明します。
【第1話③】卑劣な男・サジェスタ
シフォンとノイにガイネン討伐を命じたサジェスタ。アニキと慕われているようですが、その実態は仲間を平気で切り捨てる悪党でした。彼がリーダーとして鎮座する「シャドウ教団」は、悪と断じたガイネンの駆逐を謳う一方、教団関係者以外の人間すべても「不浄な存在=悪」と見なす危険な思想に染まったカルト教団です。教団の中でシフォンのような実働任務に就く者たちの大半は、「身寄りのない孤児」ばかりでした。
シフォンがなぜ孤児になったのかは劇中後半にて明かされます。実のところ、サジェスタ自身には宗教観というものは皆無であり、ただ己の欲望を満たすためだけに教団を立ち上げ、本能の赴くがまま破壊と略奪を繰り返していたのでした。そんなサジェスタは言葉巧みに子どもを洗脳し、使い捨ての駒のごとく意のままに操ります。
サジェスタのモチーフは『ガンダムOO』の「アリー・アル・サーシェス」です。一応はモナーRPGなので、サーシェスほどの非道な行為は行いません。第1話以降の動向は不明となるサジェスタですが、第4話にて仲間を連れて再登場します。
【第1話④】マルガイ
復活を果たしたシフォンの前に現れたのは「マルガイ」所属の削除人2人。元ネタの『チェンソーマン』で言うところの「公安」に該当する組織です。悪事を働くガイネンに立ち向かうため結成されました。「使えそうなものは何でも使う」というスタンスのため、処分する代わりにシフォンをマルガイへ引き込んだのでした。
『チェンソーマン』由来の部分が多い本作です。パンジェは「マキマ」。イチマルは「早川アキ」がモデルでした。『チェンソーマン』を読んだことがあれば、終盤の展開やラスボスがゲーム初期から予想できたのではないでしょうか。
余談ですが、マルガイのメンバーの名前には数字が入っています。シフォンは「4」。これは本作がAGESAGEシリーズの4作目だからです。ロゼは「0」、イチマルは「1」、ニダオカが「2」、ミツキが「3」です。数字遊びは『Splatoon3』を参考にしました。ラスボス戦のタイムリミットが「3分33秒」など、至るところに「3」が仕込まれていて、遊び心の大切さを学びました。ゲーム制作をしていると、どこかで事務作業感覚が起こってしまいます。そうでなく、常に楽しみながら制作していきたいものですね。
【第2話①】ガイネンとは
AARPGなのに、AA要素が限りなく薄まってしまった本作。『チェンソーマン』にだいぶ寄せてしまったことが原因でした。
それは公開後の反省で、制作中はガイネンの設定の万能さにずいぶん助けられました。これまでは、既存のAAの中から物語の状況に合いそうなキャラクターを敵としてチョイスしてきました。ガイネンを設定したことでその選択に悩む必要がなくなったのです。ガイネンは『チェンソーマン』の「悪魔」がモチーフです。劇中では「トマト」や「ニワトリ」といった身近な動植物から「支配」「永遠」といった姿かたちをもたない概念まで、幅広い呼び名の悪魔が登場しました。集合住宅に「クマバチ」の悪魔が現れたり、ドイツから「人形」の悪魔がやって来たりしました。なんでもアリ、というのは本当に楽なもので、敵キャラを考えるのはとても楽しかった記憶があります。
【第2話②】RPGとの相性が良かった?
4作目を迎え、マンネリ化を感じていた部分がありました。それは、魔法(特殊技能)の設定です。2ちゃんねる由来のAARPGというジャンルゆえ、魔法は「コピペ」という名称に置き換え、技の名前も2ちゃんねる色の濃いものにしようという縛りをこれまで課していました。とはいえ、2ちゃんねる用語で技の名前に使えるものは思っていたより少なく、またシリーズを重ねるに連れて使い回しも苦しくなってきました。特にネーミングに関しては、地味に時間のかかる作業の1つでした。
『チェンソーマン』では、契約した悪魔の力を発動させて敵と戦います。この設定を本作に落とし込んでみると、とても自由度が高くなりました。シフォンの場合、ギコタが様々なガイネンの力を吐き出して戦うという設定だったので、ムカデやビタミン、アシガルなど技の名前をフリーダムにつけることができたのです。『チェンソーマン』の舞台設定がRPG制作と意外なほど相性が良かったことが分かりました。「召喚獣」と同じような感覚でしょうか。
【第2話③】AGESAGEシリーズを繋ぐもの
本作は、前作『3』の後日談です。とはいえ、過去作品との繋がりは極めて薄く、「外伝」としての要素が濃いと言えるでしょう。
『3』終盤、暴走を始めた6つの世界がギコリオたちの尽力によって統合を果たしました。作中の描写では伝わりづらかったと思いますが、私の意図としては、6つの地球が無理やり1つに合体されてしまった現象を表現したつもりでした。国が異なるだけで文化の違いに驚きますね。これが宇宙規模で起こったとしたら…というのが「シックス・インパクト」の正体だったのです。混乱が起こらないはずがありません。その混乱が疑念や恐怖に変わりガイネンが誕生した、というのが本作の基本設定でありました。『3』から繋がる要素はこの部分程度です。これは、シリーズ作品でよくある「過去作をプレイしていないと面白くない」問題へのアンサーのつもりでした。「シックス・インパクト」の説明以降は、『チェンソーマン』の設定を根幹に据えて物語は進んでいきます。もっとも、中盤からアヒャールなど過去作のキャラクターが登場しますが…。
余談ですが、画像のパンジェさんのグラフィックは『Splatoon』の「インクリング」がモデルです。けれど、元ネタの「マキマ」との乖離が激しいため没データとなり、完成版では元ネタ寄りのグラフィックに変更となりました。個人的にはめんこいと思っています。
【第2話④】イチマルという男
第1話で触れましたが、シフォンの世話役を務めるイチマルのモデルは『チェンソーマン』の「早川アキ」です。イチマルについては元ネタとほぼ変わらない設定で、最初こそシフォンに冷たく接しますが心根は優しい人物で、最終的に良い兄貴分となるキャラクターです。
RPGで言うところのアタッカー要員で、攻撃的なタカのガイネンと契約しています。破天荒なシフォンを諫める常識人としてのポジションは、いわゆる説明キャラとして非常に重宝したものでした。終盤、元ネタと同じように退場してしまうイチマルですが、エンディングで再登場します。イチマルの貢献が少しでもハッピーエンドに向かえば良いなという思いでした。
【第3話①】ギコタはなぜ狙われたのか
『チェンソーマン』のオマージュ的な展開がまだまだ続くのが第3話です。この回で、シフォンは晴れてマルガイへ入局し初任務に赴きます。
『チェンソーマン』では、「永遠の悪魔」の力によって主人公たちはホテルに閉じ込められてしまいます。マップをダンジョンに変えてしまう能力ということで「メイキュウ(迷宮)」のガイネンがギコタを狙うという設定としました。『チェンソーマン』では8階に悪魔が登場しましたが、さすがにRPGで8階まで進むというのはプレイヤーにとって骨の折れる作業になるでしょう。そこで、半分の4階で敵が現れる演出としました(「4作目」にもかけています)。
なぜギコタが狙われたのか。この回では明言こそされませんが、第2話にて「ガイネンの世界は弱肉強食」という事情がギコタから語られます。これは一見、弱いギコタを強いガイネンであるメイキュウが食べようとしている事実の裏付けにも思われますが、実際はギコタの方が格上のガイネンなのでした。遥かに強いガイネンであるギコタを食べることで、メイキュウは自身の力を強化しようと企んでいたのです。「下剋上」もガイネン社会では日常的に行われていると言えます。
上記の設定はほぼ『チェンソーマン』に由来しているのですけどね。
【第3話②】アルバー・シティガイド~ブソー堂
これまでのAGESAGEシリーズでは、RPGの王道的ルールに則り、「物語が進むに連れて強力な武器が買えるようになる」方式を採用していました。
本作では、最初からすべての武器を購入することが可能です。 もっとも、パンジェさんからもらえる軍資金だけでは数種類しか買うことができず、コツコツお金を貯めるかアルバイトで稼ぐかしないとコンプリートすることはできません。
武器にも個性をもたせようと思いました。状態異常を付与させるものや連続攻撃が可能なもの、命中率は低いものの攻撃力が高いものなど、かなり充実させることができたと思います(もっとも、低命中率の武器は基本的にハズレの部類でしょう笑)。
店主を務めるラモナは、AAの「レモナ」をモチーフとしています。帽子を被らせたことで、AAに見えなくなってしまいました。武器のことになるとおしゃべりが止まらなくなるラモナの性格は、『Splatoon』シリーズに登場する武器商人「ブキチ」を参考にしています。
【第3話③】アルバー・シティガイド~モノ屋
攻略には直接関係のない部分に力を入れてみたのが本作でした。
「モノ屋」に置いている様々なアイテムには、購入するだけでシフォンのステータスをアップさせる作用があります。これによって、意図的にゲームバランスを崩壊させることが可能となりました。極端な話、第3話からアルバイトができるようになるので、物語を進めずひたすらバイト代を稼ぎ続けると、(時間はかかるでしょうが)すべてのアイテムを買えてしまいます。ストーリーの序盤ながらシフォンのステータスが劇的に上がるため、一気にヌルゲーと化してしまうでしょう。
モノ屋の店主を務めるしぃぽよ。90年代に流行?した「カリスマギャル店員」のイメージに、『Splatoon3』の雑貨屋店員の「パル子」のビジュアルを掛け合わせて生まれたキャラクターでした。意外と気に入っています。
ブソー堂もモノ屋も、すべての商品を購入するとプレゼントがもらえますよ。バフ効果が大きく、ゲームバランスがさらに崩壊すること必至でしょう。
【第3話④】アルバー・シティガイド~マニーゴ商会
ブソー堂とモノ屋のアイテムをコンプリートするためには、アルバイトがマストとなるでしょう。
アルバイトのアイディア自体は、『Splatoon』シリーズの「サーモンラン」に由来しています。決められた数のチビギコを時間内に狩るというシステムで制作したかったのですが、技術的に難しかったため、「時間内にとにかくたくさん倒す!」ルールに変更しました。
本作で回収しきれなかったのが、この「チビギコ大量発生」の原因です。『3』エンディングにてアヒャールの相棒となったチビギコ(正体は○○○○○)が実は関わっているのですが描ききることができませんでした。『5』で明らかにしたいですね。
アルバイターをサポートするのは、オペレーターのアンナです。『ワールドトリガー』の「宇井真登華」がモチーフです。ラモナ、しぃぽよ、アンナの3人はもともと物語に絡むことを想定していませんでしたが、ミステリーファイルにて試しに女子会を開かせてみたところ、思いのほか話を広げることができて驚いたものです。『5』でもこの3人は続投しますよ。
【第4話①】明確に描かれた「死」
AGESAGEシリーズでは 、『初代』のマルミーミ博士、『2』のモナスケの死、『3』のでぃちゃんの末路など、グロテスクな表現や流血描写が(そう多くはないですが)見られます。演出といえども不快に感じたプレイヤーもいたのではないかと思われます。
意外?なことに、プレイアブルキャラクターが命を落とす描写はほぼありませんでした(『初代』のロックモナーぐらいかな?)。ところが、本作では『チェンソーマン』をオマージュしている都合上、明確に「仲間の死」が描かれます。モナーRPGを標榜している以上、ソフトに表現(死亡ではなく負傷してからの退場とか)することも頭の中にはあったのですが、その後のストーリー展開を考えた結果、あえてハードに描写する運びとしました。
とはいえ、愛着のあるキャラクターの死亡シーンを描写するというのは、案外しんどかったものです。そんなキャラクターを救済するのに、ミステリーファイルやエンディングシーンには大いに助けられました。
【第4話②】ロゼより愛をこめて
先輩削除人として快活に振る舞うロゼ。『チェンソーマン』の「姫野」がモチーフです。アプリで出力したAIイラストを加工してロゼは誕生しました。初めて「うまくできた!」と手ごたえのあった顔グラで、普段ver.ロングヘアver.曇り顔ver.眼帯ver.下着ver.と5種類も顔グラを作ったことから、当時どれだけ思い入れが強かったかが分かります。
破天荒なシフォン、冷静で面白みに欠けるイチマルの間を取りもつロゼは、物語を明るくしてくれました。第1話④でも触れていますが、マルガイ四課のメンバーには数字が振られています。最年長で経験豊富なロゼは「0」。彼女の次に入ったのが「イチマル(1)」で、回想シーンで師匠が読み上げたロゼの元相棒たちの名前は、一様に「1」に関係のあるワードだったのでした(アイン、イルゴ…)。
契約しているガイネンは「スタンプ」。これは、「イチマルの背中を押す存在」というロゼの役どころを踏まえて設定したものです。
【第4話③】カニじゃなくても良かった気がする
第4話では、第1話に出たサジェスタが久しぶりに登場します。本拠地のアジトを攻撃されたサジェスタはマルガイに恨みを抱き、残党を引き連れて削除人襲撃事件を引き起こします。
この回でのサジェスタの役どころは、『チェンソーマン』のモミアゲマンこと「サムライソード」をなぞったものでした。サムライソードはただの敵で終わらせるにはもったいないデザインだと思っています(知らない人は画像検索してみましょう。『チェンソーマン』第二部に出たときは本当に嬉しかった)。
カニの画像は、「仮面ライダー図鑑」の敵怪人の中から適当に選び画像加工したものでした。もっとカッコよく仕上げたかったのですが、私の技術ではこれが限界でした。異形の存在らしさは出せたかなと思っています。偶然なことに、相棒のネアが使役するガイネンは「シャチ」。どちらも海洋生物で繋がったのでした。
【第4話④】たぶん再登場できないキャラクター、ミツキ
マルガイ四課初期のメンバーは、『チェンソーマン』に由来したものです。ニダオカは「荒井ヒロカズ」をマイルドにアレンジしました。出番は僅かですが、ミツキとの最後のやり取りは第5話ラストの演出に繋げられたと思っています。
一番問題のあるキャラクターが、このミツキかなと思っています。パンジェさんも際どいのですが、髪の色で(どうにか、ギリギリ)誤魔化していると思ってください。ミツキについては、性格からセリフ、見た目まで「東山コベニ」をモチーフにしたキャラクターであることは明白で、ファンの人がこのゲームをプレイしたら不愉快に感じるのではないでしょうか。
もっとも、私自身、このキャラクターへの愛着は(元ネタのコベニを含めて)相当深いと自負しています。愛あるいはリスペクトゆえに、ミツキというコベニのコピーが誕生しました。『チェンソーマン』にて、サムライソード戦に駆けつけたコベニは、異様な戦闘力の高さを見せつけます。第4話のシャチ戦でもその流れをオマージュしています。心残りは、ファミリーバーガーの回をオマージュしきれなかった点でしょうか。
『チェンソーマン』第2部にもコベニはいまだ再登場していません(24年7月現在)おそらく、『5』に彼女が登場する可能性は限りなく低いでしょう。
【第5話①】規模としては中編な理由
この回では、削除人襲撃事件を引き起こしたサジェスタ一味を捕らえるため、マルガイが反攻作戦に転じます。この流れも『チェンソーマン』を参考にしています。
制作当時はそれほど気にならなかったのですが、本作の公開後に再プレイしてみたところ、あることに気が付きました。「ダンジョンが淡泊だなぁ」という点です。それなりに時間をかけて作ったはずのダンジョンが、思っていたより短時間で突破できてしまうのです(作者だからというのもあると思いますが)。謎解き要素も薄く、一本道的なダンジョンが実に多い。これは、ストーリー面に力を注ぎ過ぎた弊害だったのかなと反省しています。『チェンソーマン』の要素をどう盛り込むか試行錯誤していたあの頃、アルバイトやモノ屋といった新要素の実装に四苦八苦していたあの頃…。ダンジョン制作というRPGの醍醐味?とも呼べる部分がおざなりになっていたんだと思います。「○○しなければならない」という観念が強くなってしまうと、楽しかったものもただの作業に成り下がってしまいます。この反省は『5』で改善できるよう努めます。
【第5話②】アナザー・アースの伏線
後の回で、シフォンたちのいる世界は『3』と同一のものではなく、『3』統合後の世界線を完全にコピーした別次元の世界(アナザー・アース)であることが分かります。
画像のセリフで触れられているキャラクターは、『3』由来の「モライド」と「ケンゾー」のことです。完全コピーされた世界なので、『3』のキャラクターたちもシフォンの住む世界に同様に暮らしているのです。ミナミやフォン軍曹の生まれ故郷の「スウェイズ」も名前だけなら頻繁に登場します。ただし、物語にはまったく関わってきません。話が複雑化してしまいますから。
①でも触れた通り、本作は長編というより中編規模の仕上がりだと思っています。その理由として、物語の舞台の狭さを挙げます。『3』までは、無限に広がる過去ログの世界をあちこち冒険するという内容でしたが、本作はすべてアルバー・シティ周辺での出来事に終始しているのです(ガンダムで例えると『ポケットの中の戦争』のような立ち位置でしょうか)。最終的に世界の危機をシフォンが救うのですが、どうにもスケールダウンが否めません。『4』はAGESAGEシリーズの外伝的な作品だと捉えれば、そんなに気にはならないかなと思います。
【第5話③】ギコタはオスか、メスか
恐ろしい大男の姿をしていたガイネンは、シフォンとの契約によってチビギコ「ギコタ」の姿となりました。正体は「ユメ(夢)」のガイネンだったのですが、自己紹介を遮られたり名乗る前にギコタと命名されたりと、ギコタの正体を知る機会を逃したまま物語は進みます。ギコタのセリフには、けっこうな頻度で「夢」がワードとして出てきます。伏線にもならないような伏線ですが。
このギコタですが、ゲームシステムの都合上は「召喚獣」と同じような存在です。過去に倒したことのあるガイネンの力を放出することができるのです。このことからも、ギコタが本来それなりに強い(恐れられている)ガイネンであったことがうかがえます。
ギコタのモチーフになったキャラクターは複数います。バディとしてシフォンの脳内に直接語りかけるいう演出面は、『ウルトラマンタイガ』を参考にしました。性格面では、『チェンソーマン』の「血の魔人・パワー」と「戦争の悪魔・ヨル」を混在させています。天然気質というか、慇懃無礼ながらも時々デレたりペット禁止の貼り紙をちゃんと守って店の外で待っていたりと、本来は敵であるガイネンなのにどこか可愛らしく見えるように描写しました。
ちなみに、ガイネンに性別自体はないという設定で制作していますが、どちら寄りかと聞かれるとギコタは女の子です。
【第5話④】師匠=アヒャールだった
第4話にて初登場した師匠。本名は劇中では明かされていません。マルガイ最強の削除人らしく、シフォンとギコタを鍛えてくれます。『チェンソーマン』の「岸辺」がモチーフのキャラクターです。AGESAGEシリーズでは珍しい中年男性のキャラクターでした。
当初、この師匠はアヒャールと同一人物という設定でした。本作の舞台背景が定まっていなかった頃、『3』と同一の世界線で制作しようと構想していました。モナクリフが去った後の『3』の世界が舞台で、数十年の時が流れます。アヒャールも相応に年を重ね、ガイネンに立ち向かう主人公勢をサポートしていく…という役どころを設定したのです。結局、アナザー・アースの設定を採用したため、師匠=アヒャールではなくなりました。師匠のグラ名が「アヒャール」となっているのは、その名残をあえて残したという形であります。
もし「師匠=アヒャール」が実現していたならば、きっと『3』に登場した例のチビギコのその後を描写することができたでしょうね。師匠の片耳が欠損しているのも、確か何らかの意味があったハズです(メモを紛失してしまいました…)。
【第6話①】「レゼ編」のオマージュ
第6話は、『チェンソーマン』の所謂「レゼ編」をオマージュしたものでした。このレゼ編ですが、劇場公開された暁にはぜひとも足を運びたいものです。それぐらい、儚さや夢の脆さ、武器人間の悲哀が描かれた屈指の名エピソードだと思います。
初期稿では、新キャラクターにレゼの役どころを与える予定でしたが、悲劇性をより高めるため、シフォンの幼馴染であるノイをピックアップしたのでした。劇中、レゼは「爆弾の悪魔・ボムガール」に姿を変えます。デンジとの激闘の末、海中に投げ落とされたレゼは爆弾の力が使えなくなり、変身を解除せざるを得なくなります。このシーンをオマージュするため、ノイには「ハガネ(鋼)」のガイネンに変身するという設定を加えました。重たい甲冑なら、水に沈んだら手も足も出なくなってしまいますからね。
『チェンソーマン』成分の濃い本作ですが、さすがにオマージュ元と同じ悪魔(ガイネン)は出せないなということで、様々な場面で別のモチーフに差し替えています。
【永遠の悪魔 ▶ メイキュウ(迷宮)】
【ヘビの悪魔 ▶ シャチ】
【筋肉の悪魔 ▶ ゴム】みたいな塩梅です。
【第6話②】帰ってきたノイ
ノイについては、レゼのポジションを与えたことで極めて悲惨な末路を辿るキャラクターとなってしまいました。
ネアによってハガネのガイネンを移植されたノイは、シフォンとの記憶を失うもギコタを奪うという任務をこなすよう植え付けられていたため、行動を開始します。あたかもシフォンに好意があるかのように近付いたノイは、あと一歩のところまでシフォンを追い込むものの敗れてしまいます。記憶を取り戻したノイはシフォンに再び会うため待ち合わせ場所まで向かうも、待っていたのは…というのが第6話の大まかな展開です。
最終的に落命してしまうノイですが、死してなお、彼女は利用されてしまいます。ある人物によって亡骸を回収された後、ノイは終盤にて思わぬ形で再々登場を果たすのでした。あまりにも不憫だったため、エンディングでちょっとした救済シーンを加えています。
【第6話③】黒幕は誰だ?
『チェンソーマン』を読んだことのある人なら、第一部の黒幕が誰か知っていると思います。本作でも、あの人物がラスボスとしてシフォンの前に立ちはだかります。
過去作のラスボスを振り返ってみましょう。『初代』はモナクリフ(モナエル)で、これは比較的予想通りの展開だったのではないでしょうか。『2』はまさかのモラボリー。まさか味方チームに裏切者がいるなんて!という反応を期待して設定しました。『3』では、またもモナクリフ(とウェスヴィレジ)。シリーズの集大成として、「予想外のキャラクターがラスボスだったら面白いだろうな」という視点ではベストチョイスだったのではないかなと思っています。
第6話に限らず、あの人物の不審な点は各所で描かれています(なんなら第1話の時点で既に…)。オマージュ元がある以上、本作のラスボスは「あ、やっぱりこのキャラだったか」という感じだったのではないでしょうか。そういう意味では、制作は楽しかったものの、ワクワク感は過去作に比べて減ってしまったかなというのが反省です。
【第6話④】過去から来たる者たち
第6話をもって、『チェンソーマン』のオマージュは(少しずつ)減ってきます。黒幕の存在が示唆された第6話。次の回から、終盤に向けて「転」の段階に突入していきます。
画像のセリフを言っている人物は、アヒャールです。『3』のエンディングで再び放浪生活を送っていたアヒャールですが、いつの間にやらラベルに入隊し、エージェントとしてアナザー・アースへ介入するに至りました。『3』の後日談を一切描くことができなかったので、アヒャールの扱いにモヤモヤとしたプレイヤーも少なくなかったのではないでしょうか。『5』にて描写できるよう努めたいと思います。
アヒャールの参入によって、本作は本来のAGESAGEシリーズらしさを取り戻していきます。