『AGESAGE』(2006年)
≪ストーリー≫
ギコリオの友人モナクリフが失踪した。モナクリフは、訪れた者の願いを叶えるという「ログの海」を目指していたという。ギコリオは、彼を見つけるため「過去ログの世界」に旅立ったのだった。
遠藤なお様作成の紹介動画
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主な登場人物
ギコリオ
主人公。2本の剣を使って戦います。馴れ合いをあまり好みませんが、旅を続ける中で変わっていきます。
モナクリフ
ギコリオの友人。「ログの海」に辿り着いたことで、創造主としての不思議な力を手に入れました。
メルシィ
第1層で出会う仲間。伝承に詳しい医者で、回復コピペを使いギコリオの旅をサポートします。
ふーん兄弟
第2層で出会う仲間。どこか憎めない性格です。ギコリオと同じ旅人だと言いますが、その正体は…。
アヒャール
第2層を牛耳るアラーシ団のボス。プリンが大好物なのだとか。実は続編に登場するある人物の兄です。
ロックモナー
第3層で出会う仲間。戦闘用ロボットですが、誕生にはちょっとした秘密がありそうです。
ひろゆき王
第3層を統治する王様です。掴みどころのない性格をしていますが、確かな政治手腕をもっています。
ギコイル
第1層の国王の部下です。世界征服の野望をもっています。目標達成のためなら手段を選ばない人物です。
開発秘話+
特撮や『MOTHER』に影響
『2』『3』に比べるとオマージュ要素が(比較的)薄めなのが『初代』の特徴です。オリジナルの展開を思いつくだけの発想力がまだ備わっていたんだな、と今になって感じます。当時から、刺激を受けた作品に出会ったとき「どうやってゲームの中に落とし込もうかな…」とばかり考えていました。例えば、第2層で出会うマルミーミ博士ですが、元ネタは『ウルトラセブン』幻の12話に登場するスペル星人です。他にも、物語終盤にギコリオが迷い込むログの海は、『MOTHER』シリーズに出てくるマジカント国をモチーフにしています。好きなものをオマージュとして劇中に盛り込みつつ、物語の世界観を(極力)崩さないように気を付けて制作した記憶があります。
『ROCK MONAR』からの継承
『ROCK MONAR』と同じ作者であることを公言して良いのか、当時はなぜか迷いがありました(隠すつもり自体はなく、質問されるとすんなり認めていたのですが)。「このゲーム、ROCK MONARの作者と同じ人が作ったのでは?」と思ってもらえたら嬉しいな、という考えがあったのです。そこで思いついたのが、アイテム名やキャラクター名の継承です。回復アイテムからは「うまい棒」、味方キャラからは「メルシィ」などを続けて使いました。敵キャラでは、最序盤に出てくる「アツー」が分かりやすいですね(「アツー」はシリーズ皆勤賞です)。他にも『ROCK MONAR』から『初代』に引き継がれているものはたくさんあります。スターシステムになぜだか憧れがあったのです。
裸のギコリオ
『初代』はRPGツクール2003で制作しました。なぜツクール2003だったのかというと、それは初めて買ったPC用のツクールだったからです。頑張って制作した1本目は『ROCK MONAR』でした。特に苦労したのは、戦闘用キャラチップの制作です。AAキャラ用のグラフィックが当時あるはずもなく、泣く泣く全て自作しました。非常に時間がかかりました。当時から見てもアニメーションの不自然さは隠しきれないものでしたが、一から作った身としては十分に満足していました。『初代』の制作にあたり、グラフィックの使い回しはやめようと心に決めたので、また一からグラフィックを自作することとなりました。既に武器グラフィックには良いもの(フリー素材)を手に入れていたため、その武器の大きさに見合うようにキャラクターのグラフィックを制作していきました。武器の大きさが小さくなる=キャラクターの大きさも小さくなる=作業時間が短くなる、という今考えれば当たり前のことに回り道をして気が付いたのでした。ギコリオをベースに、その他のキャラクターたちを制作しました。見出しにあるように、戦闘時のギコリオは裸です。本当はボロきれを身にまとっているのですが、当時の私の描画スキルではドット絵サイズでボロきれを表現することができませんでした。同じように、メルシィも箱から出た状態で戦っています。この問題は『2』においても解決されませんでした。
ネオ麦大帝は2度死ぬ
ネオ麦大帝は、第2層キルキャット帝国を支配する暴君として描かれていますが、実際に進んで悪事を働いていたのはギコイルでした。ネオ麦大帝はギコイルによって洗脳され、事実上ギコイルの操り人形となっていたのです。このネオ麦大帝ですが、『ROCK MONAR』でも大ボスとして立ちはだかります。この時もDr.ワイーリによって洗脳された状態でした。2000年代前半のモナーRPG界隈といえば、元ネタのネオ麦茶は敵キャラとしていじりやすい性質をもっていたと思います。偏りがあったとは思いますが、私が遊んだことのあるモナーRPGの中では、ネオ麦茶が味方サイドとして描かれた作品はほぼゼロだった気がします。『ROCK MONAR』そして『初代』で同じような状況で使い回しをされたネオ麦大帝は、それ以降の作品に再登場することなく消えていってしまいました。
天使の秘密
第3層で、ギコリオはひろゆき王から天使2体の討伐を命ぜられます。この天使というのは、遺跡の奥に封印された異形の者で、やたらと敵対的です。その天使らを倒すことで手に入る魔石の力が、ひろゆき王の求めていたものでした。空間を破壊し、次元の隙間から敵地へ奇襲攻撃を仕掛けるというアイディアは、『ウルトラマンA』から得たものでした。超獣バキシムは、出現の際に空を割って登場します。そのシーンに刺激を受けたことを覚えています。話は戻りますが、この天使2体というのは結局のところどういった存在であるのか、劇中では説明しきることができませんでした。といっても、当時もこれといって何か考えていたわけではないので、『3』でのちょっとした補足は、本当に蛇足レベルのフォローだったなと反省しています。
『恋のマイアヒ』
パロディとして随所(主に第3層ですが)に散りばめられているネタの1つに、楽曲『恋のマイアヒ』絡みのものがあります。詳細は、ここで挙げ連ねるより調べた方が分かりやすいかと思われますので割愛します。ただ、当時のインターネット界隈を賑わせていたコンテンツ?の類だったことは間違いありません。劇中では、ホテルの名前が「恋のマイアヒ」に始まり、天使を倒すと手に入るアイテムが「ベイサ(ベイシュカ)の魔石」だったり、ひろゆき王が開発した新型兵器が「ノマノ・マ砲」だったりと、異様なぐらいネタ扱いされています。ちなみに、画像のセリフは、楽曲の空耳歌詞の一部です。さらに言うと、『2』では「のま猫」も敵キャラとして出現します。おそらく、当時の私がたいへんハマっていたものだったのでしょう。
雰囲気『MOTHER』を目指して
画像のセリフは、まったく意味のないセリフの1つです。当たり前ですが、RPGで使われるセリフには様々な意味があります。イベントを発生させるためのもの、物語の世界観を補足させるためのもの、ゲームシステムを教えるためのもの、どうでも良いもの…など。前3者は比較的容易にセリフを考えることができました。ですが、全体のバランスを考えたとき、例えば説明的なセリフばかりが同じマップ上に並ぶのは何とも不自然です。ということで、特に町マップを作ったとき「どうでも良い」セリフを言うNPCがたくさん必要になりました。セリフ回しに優れているゲームといえば、私の中では『MOTHER』シリーズが筆頭に挙がります。読んだとき、どこかクスリと笑えたり少し考えさせられたりするようなセリフにしたい、という思いで「どうでも良い」セリフ作りを頑張りました。もちろん、『MOTHER』に及ぶものではありませんでしたが…。
『AGESAGE 2』(2008年)
≪ストーリー≫
ギコリオがモナクリフの心を救ってから数年が経った。ある日、1人の男がモナクリフの元を訪ねる。その男はギコリオの行方を追っていた。ギコリオは謎の失踪を遂げていたのだ。再び姿を変えるログの神殿。モナクリフはギコリオを見つけるため、過去ログの世界に飛び込んでいくのだった。
主な登場人物
モナクリフ
ギコリオの友人。かつて創造主として過去ログの世界を支配していました。現在は改心し、悠々自適に暮らしています。
モラール
特殊組織「ラベル」の捜査員。エリートであることを何かと鼻にかけてきます。モナクリフと組んで冒険に出かけます。
ツーリア
モラールの上司。軍出身で、モラールからは「少佐」と呼ばれています。時間を制御できる特殊能力をもっています。
謎の男
正体不明の人物。モナクリフたちの前に立ちはだかり、旅の妨害をしてきます。その目的は一切分かりません。
ちびギコ太
第1層で出会う少年。町人たちから疎まれている浮浪児です。怪獣に襲撃され、両親を失ってしまった過去があります。
ギコジン
第2層で出会う仲間。テレビ局の撮影スタッフです。市街地を覆う謎の霧の原因は何か、クルーを率いて取材しています。
リリア
第3層で出会う少女。実体をもたない存在で、モナクリフたちの冒険を裏からサポートしてくれます。
ギコスクリーム
第4層で出会う正義のロボット。戦争をやめさせるため、モナクリフと組んでとある作戦を実行します。
モラボリー
モラールの兄。ラベルの捜査員です。アナライズを担当しています。モラールと比べると控えめな性格です。
開発秘話+
『初代』のラスボスが主人公
『初代』完成後から、続編の構想はありました。構想といっても緻密にアイディアを練っていたわけではなく、「何となく」レベルのものでしたが…。ただ、主人公に関しては最初期から一貫して「モナクリフでいこう!」と決めていました。ギコリオは主人公として扱いやすかったのですが、『2』制作にあたり、難題にぶつかりました。ギコリオに、「再び冒険させる」目的を付与させることができなかったのです。『初代』でのギコリオの旅の目的は、モナクリフの救出でした。ギコリオは、世界人類を救うだとか特別な使命感をもっている人物ではありません。『初代』での奮闘は「親友のために行動する」という行動理念に則ったものでした。親友が改心した結果、ギコリオが再び冒険に出かける必然性がなくなってしまったのです。
世界観=中世か、近未来か?
モナクリフが主人公になるにあたり、「現実世界」を描く必要性が生まれました。現実世界には、モナクリフの家があり、人々が暮らす町があります。そして、その空間にはログの神殿が同居しています。「神殿=古代遺跡」という先入観が私自身にはありました。したがって、最初にデザインした現実世界は、中世ファンタジー風でした。けれど、舞台は2ちゃんねる(当時)です。サイバーというかメカニカルというか…そんな雰囲気の方が世界観にマッチしているのではと考え直しました。その結果、軌道エレベーターのような装置を盛り込んだ神殿が生まれ、神殿周辺の町並みもどこか近未来チックな雰囲気になりました。おそらく、中世の雰囲気のままだったとしたら、「ラベル」のような特捜チームは誕生しなかったと思います。
ネタの寄せ集め組織「ラベル」
『初代』と『2』を比べるとしたら、『初代』はオマージュ成分が、『2』はパロディ成分が濃いとそれぞれ例えることができるでしょう。
モラールが所属する特捜チーム「ラベル」は、様々なネタが煮込まれた闇鍋のような存在です。 英単語の先頭の文字を繋げてチーム名にするのは『ウルトラシリーズ』です。チームのメンバー構成は、隊長にオペレーター、メカニック、分析官、脳筋担当…と、『攻殻機動隊』を参考にしています。隊長のツーリアが、軍出身だからと「少佐」と呼ばれているのはあまりにも露骨ですね。各隊員のセリフもパロディが満載で、特に『ガンダムシリーズ』から引用したセリフが多めです。癖の強いモラールでさえ、ラベルのメンバーに囲まれていると地味に見えてしまいます。
やりこみ要素①博物館モード
『2』には、『初代』にはなかった要素をいくつか盛り込んでいます。1つ目は「博物館モード」です。ダンジョンなどに落ちているカードを集めると、『初代』『ROCK MONAR』に登場するキャラクターのプロフィールが閲覧できるというものです(『2』のキャラはストーリーに合わせて自動更新)。マップの散策など、様々な角度からゲームをプレイしてもらえたらなとの思いで実装したモードです。しかし、失敗したことが1つあります。カードをどこに隠したかメモをつけていなかったのです。これによって、私自身、全てのカードを集めることが不可能となってしまいました。まぁ、ツクール2003から『2』のデータを展開し、マップデータを1つ1つチェックすれば調べることはできるのですが…。
本当に汚れていたのは、誰?
『初代』のマルミーミ博士は、『ウルトラセブン』のオマージュでした。『2』においても、『ウルトラシリーズ』由来のネタが随所にちりばめられています。毒の雨に汚染された第1の世界では、疑心暗鬼に陥った民衆によって悲劇が起こります。何の罪もない少年・ちびギコ太が雨の元凶と疑われてしまい、彼を庇った老人・モナスケが暴徒の手にかかり落命してしまうのです。雨の元凶を始末したと喜ぶ民衆。そこへ、雨を浴びて凶暴化した怪獣ゾヌルチが出現し、暴れ出します。怪獣はモナスケによって封印されていましたが、彼の死によって封印が解けたのです。…ということで、このネタは『帰ってきたウルトラマン』第33話のオマージュなのでした。怪獣ゾヌルチも、劇中で大暴れする怪獣ムルチが元ネタです。ちなみに、私自身、この話の存在を知ったのはモナー板の大長編スレがきっかけでした。保存サイト「モララーのビデオ棚」に収録されていた「モナーマン」を通して知ったのです。その後、改めて本編を視聴し、愕然としたことを覚えています。なお、怪獣ゾヌルチは『3』にも登場します。マルミーミ博士の実験の影響で凶暴化したぞぬ、という設定でした。『2』と『3』の世界線が繋がっているということを示唆しています。
やりこみ要素②合成庵
2つ目のやりこみ要素ということで、2種類のアイテムを掛け合わせて新たな武器を作る「合成庵」を実装しました。『初代』における武器は、攻撃力を上げるためだけの道具という淡白な位置付けでありました。『2』では、鞭・剣・銃・爪・杖の5種類の武器それぞれに個性をもたせ、戦闘に戦略性をもたせようと試みたのでした。しかし、モナクリフは鞭しか装備できません。そこで、モラールが全ての武器を装備できるように設定しました。モラールはエリートなので、何だってできるのです。話が逸れましたが、合成庵のおかげで、「お店で買えそうもない一品もの」の武器を劇中に登場させることができるようになりました(ダンジョン等でも拾えるのですけどね)。例えば、鞭に電気属性を付与させた「ヒートロッド」のように。実際、第1の世界では銃を、第2の世界では杖をモラールに装備させると戦闘を効率よく進めることができるのです。…けれども、戦闘に戦略性が求められるのは序盤ぐらいです。レベルが低く、コピペ(特殊技能)が充実していないからです。中盤以降は強力なコピペが次々と出てくるので、武器の力をアテにする頻度が下がってしまいます。それでも、やりこめば合成庵は終盤まで利用できます。
個人的にイマイチな『Monagan』編
第2の世界は、PS2のゲーム『Michigan』がモデルであります。カメラマンになりきって怪事件の真相を暴いていく、という触れ込みに惹かれ、思わずパケ買い(中古品でしたが)したゲームでした。個人的には非常に楽しめたのですが、ネット上での評価はズタボロだったのが記憶に残っています。ゲームの世界観に感銘を受け、同じような内容のゲームを制作してみようということで生まれたのが『Monagan』でした。どの時期に制作したのか、今となっては覚えていません。『初代』の後か、それとも『ROCK MONAR』の後だったか…。2003で一部分だけ制作したものをチュートリアル版として本スレにアップしたものの、結果的に完成させるには至りませんでした。変数の操作が思うようにできなかったのです。それでも、せっかく考えた設定をボツにしてしまうのはもったいない、ということで(無理矢理)『2』の世界の1つとして位置付けたのでした。元の『Michigan』がそもそもRPG向けの設定でないことから、ストーリー展開には一番苦労したのが『Monagan』編です。後のフリーモードでも綺麗にオチをつけることができず、『3』の「疑惑編」まで引っ張ることになります。面白いと思ったことを何でもゲームの設定に盛り込んでみようという試みは、諸刃の刃ということですね。
とってつけた感がすごい…
第3の世界では、これまで行動を共にしていたモナクリフとモラールが分断されてしまいます。後々、窮地に陥ったモナクリフを助けるためモラールが駆けつけるのですが、「どうやって駆けつけさせるか」良いアイディアが浮かびませんでした。そんな中、たまたま『ドラえもん』を視聴していました。たぶん劇場版の作品だったと思います。劇中で、「四次元ポケット」を通して人物同士が行き来するシーンがあったのです。「これだっ!」と閃きました。RPGの疑問あるある、「手に入れたアイテムを普段どうやって持ち運んでいるか」を現実的に解決する手段にもなります。ラベルが開発した秘密道具、という設定で生まれたのが、画像の「四次元フォルダ」でした。これのおかげで、特に悩むことなく、モラールはモナクリフの元に駆けつけることができたのでした。『3』で各世界を攻略する度にアイテムや所持金がゼロになってしまうのは、この「四次元フォルダ」が存在しないためであります。余談ですが、モナクリフを救うためモラールがフォルダから飛び出してくるシーンは、『ひぐらしのなく頃に』のパロディです。BGMまでそのまま使ってしまったのは、やり過ぎたと反省しています。『2』は、第3の世界あたりからパロディネタがどんどん増えてくるのです…。